2-1.粉瘤ができやすい人
粉瘤ができやすい人は確かにいらっしゃいます。しかし、どのような人に粉瘤ができやすいのかは医学的に解明されていません。背中や項部(うなじ)、顔の頬や耳たぶなどにできることが多いです。
2-2. 粉瘤とは、原因と初期の症状
「おへその出口が閉じて、おへそが体に埋まってしまった状態」を想像して下さい。
粉瘤は、体中のどこにでもできる皮膚のシコリ(皮下腫瘍)で癌(ガン)ではありません。『しぼうのかたまり』などといわれていますが、本当の脂肪ではありません、皮膚のすぐ下の袋状の構造物に、本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、剥げ落ちずにたまったできものです。
初期の症状は毛穴が黒ずんで目立つ程度で、よく触るとわずかなシコリを触れます。放置すると、半球状のかたまりとして大きくなってきます。しこりは皮膚に密着していてまわりより硬く触れます。中央部に黒い点が見つかるとほぼ粉瘤で間違いありません。
発生の原因は、不明です。打撲や外傷などの後やニキビ痕にできることもあります。医学的には、皮膚の上皮成分(表皮や外毛根鞘)が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に粥状をした垢や脂が貯まってできたかたまりです。
2-3.粉瘤に自然治癒はほぼありません
自然に無くなることはまれで、放っておくと徐々に大きくなり10cmを越える大きさになることもあります。気付いたら痛くなってくる前に受診し手術で取り除くことをおすすめします。ほとんどの場合、数日の受診で完治します。
2-4. 痛いとき......炎症性粉瘤まで放置した!
細菌感染を起こして急にその大きさを増し、赤く腫れて痛みを伴い『おでき』と間違われることがあります。2-3日前からムズムズした違和感があったが、放置していると昨日から急に大きくなりひどい痛みが出てきたと受診される方が多くおられます。さらに放置すると、皮膚が破けると膿汁と臭い粥状の固まりを排出します。赤く腫れているときに膿を出そうとして無理に圧迫すると、袋が破れて脂肪織内に散らばり膿皮症という状態になる場合があり慢性化することもあります。無理に圧迫し内容物を排出することは避けて早めに医師に相談し薬の服用と処置を受けてください。ムズムズしてから痛くはれてくるまであっという間です。この状態で受診すると、完治するまで数週間かかることもあり後悔することになります。炎症性粉瘤に対して抗生剤は有効でなく切開やステロイド注入を行うべきとする医療機関もあるようです。しかし、患者さんごとに病状は異なりますので、担当医師の判断に任せるのが良いでしょう。
Kamogawa-Klinik Tenroku